漢の時代に东方朔(dōngfāngshuò)という大臣がいたそうな。
ある年の冬、皇帝に会うべく宮廷の門を入ったところ、一人の女官が泣きながら井戸に飛び込もうとする場面に遭遇した。
东方朔はその女官を引き留めて、その行動の訳を聞いた。
その女官の名は元宵と言うらしく、彼女は宮廷で仕えるようになってからというもの、春節さえ家族と会えずとても寂しい思いをしていた。親に孝行できないくらいなら、、、という思いで先の行動に出たらしい。
そこで东方朔は彼女を助けるべく、路上で占いの露店を出した。
彼は訪れる人皆に旧暦1月16日に火の神の力によって火事が起こると伝えた。
この噂は街中に広まり、どうすればいいのか尋ねられた东方朔は神の生まれ変わりである皇帝に助けを請うよう言った。
东方朔は赤紙に何かを書き付け、人々に預けた。
街の人は急いでその赤紙を携え宮廷の外にいる衛兵の元まで行って、皇帝に渡すよう頼んだ。
漢の皇帝である武帝は、旧暦1月16日に火災が発生すると知り、慌てて东方朔を呼び寄せ対策案を尋ねた。
东方朔は旧暦1月15日の夜に各家庭で元宵を作り、火の神にお供えさせるよう提案した。
それに、赤い提灯を下げ、花火を打ち上げる必要があることも伝えた。
こうすることで火の神に見られても街中が燃えているように見せかけることができるのだという。
そして、夜には民衆に街に出て飾り提灯を見るようにする。そうすれば災いを避けることができる。
「よし、そなたの言う通りやってみようじゃないか」武帝は言った。
こうして訪れた旧暦1月16日の夜、街は盛大に飾り立てられ、人々で賑わった。
先の女官、元宵の母親も例に漏れず、末っ子を連れて提灯を見にやってきた。
そこである一つの提灯に「元宵」と書いてあるのを見て叫んだ。
自分の名前が聞こえた元宵は急いで彼らの元に走って来た。一家はついに久々に集まることができたのだった。
街はこのように賑やかに一夜を明かし、都は無事だった。
武帝は歓喜し、それからというもの毎年旧暦1月15日には元宵(汤圆等の団子)を食べて提灯を見て元宵节を過ごすようになった。